サンケイ化学株式会社は鹿児島県に本社を置く農薬専業メーカーです。2009年にERP5を選んでいただき導入プロジェクトを開始しました。サンケイ化学ERP5では販売、仕入、製造、製品原材料マスター、在庫を主に管理し、3つの外部システムとデータ交換を行っています。
サンケイ化学株式会社 福谷理常務取締役にお話を伺いました。
2013年10月 (聞き手:Nexedi田原)

-システム導入の背景、導入時の課題について教えてください。
課題としては会社全体の状況がすぐに分かる状態になかったのが一番の問題でした。背景としては本社の鹿児島と東京のシステムが別々に走っていまして、それからデータを集めて手で集計をしないと全社の状況が分からない、会社の状況を把握して今なにをしなければいけないかということが月の半ばくらいにならないと分からないという状況で、それで全社のシステムを統合した形で新しくしたいということがありました。
-全農(全国農業協同組合連合会,JA)との取引に固有の問題について教えてください。
農薬業界がそうなのですが、本当にお金が貰える値段と伝票上の値段が違う、全農さんの場合は特にそれが月別にいくつかパターンがあって非常に複雑であるということがあって、うちの前のシステムでは本当にお金が貰える値段が全農さんからお金が入金されてこないと分からないというような状況でした。売掛の管理が上手くできていなくて何年か分のそういう売掛金が正しく消し込みされていないものが残ったりして特損を決算に計上したというようなことがあり、それが非常に問題になっていたんです。実際に全農さんにいくらで売れたのかをきちんと管理できて、売掛をきちんと合わせられるようなシステムが必要でした。
全農さん以外でいうと、お得意様ごとに価格の設定が色々とあってそれが以前のシステムでは上手く管理できていなくて営業の事務が非常に煩雑であったというのと、全農さんと同じようなことですけれど、営業が認識している数字と経理が認識している数字に差があって色んな実績や計画の話をするときに数字が2つ存在していて、非常に分かりずらいということがありました。
-全農薬(全国農薬協同組合)のシステムとの連携についてはいかがですか。(注:全農薬・受発注システムのこと)
全農薬さんのシステム自体はうちがシステムを更新する前からスタートされていて、やりませんかという全農薬さんからのお誘いがあったんですが、前のシステムだとまたそこでカスタマイズを入れてという費用がかかってしまうので難しかったのです。システムをERP5に更新すると決めたのでそれも一緒にできると考えました。
-そういった課題を解決するためにERP5を選んで頂いた理由は何でしたか。
大きな理由は一つはライセンス料金ですね。もう一つはパッケージものだと一番大変なことに全農さんとのオンラインのデータのやり取りをするためにものすごいカスタマイズが発生するというのがありました。ERP5は元のユニットはあるでしょうけど基本的に作り込みですから最初から全農さんとのオンラインのデータのやり取り込みで対応していただけるというのがありました。
それからうちは製造業でもありますので製造管理の部分というはパッケージものでは販売とかの部分と一体となったものはなかなか無くて、販売のパッケージに何かしら付け加えられますよというのは色々とご紹介いただいたんですけれど、本体そのもので製造管理も販売管理も一体として使えるものというのはなかなか無かったんですね。
あともう一つには、今のシステム以前にもいくつかシステムがあったんですけれども、だいたいのものはプログラムの中身があとになるとよく分からない、パッケージものだと特に他の人には分からないですし、深谷工場で使っていたシステムは最初にお願いしたソフトハウスさんが無くなってそのあとは誰にも分からなくなってしまったということがあって、ERP5の場合にはオープンソースですので、そういう理由から最終的にはERP5が良いかなということになりました。

2014年10月鹿児島工場で撮影
-なかなか時間がかかったプロジェクトだったと私自身は思っているのですが、プロジェクトの経過、進め方についてはどのようにお感じになりましたか。
それについては非常にNexediさんに負担をかけてしまって申し分けなかったのですが、最初からうちのほうにきちんとプロジェクトとして組織化して対応するようにしてほしいと再三言われていたんですがなかなかそれが社内的な対応としてできず、一つ一つのことにものすごく時間がかかってしまいました。
複数の違うシステムが動いていたところを一つに統合しようとしたので、商品でもお客さんのことでも、色んな情報が重複しているけれど別モノみたいにして管理していたのを一つにするという、そういうことをするのにものすごい時間がかかったということがありました。
そういう状況の中でたぶん普通のパッケージソフト屋さんだったらとっくに「辞めた」となっていたと思うんですが、Nexediさんは最後まで粘り強くやっていただいたのですごく感謝しています。
-開発後、2013年現在までお使いいただいて2年くらいになりますが、振り返ってみて当初の目的を達成できていますか。
当初からちょっと問題があった会計の部分を別のパッケージを使って、それと上手くデータをやり取りさせてということがきちんとできるようになったので、データの連携があるので半日くらいズレがありますがほぼリアルタイムで会社の状況、損益の状況が見られるようになりました。そういう面では社長をはじめ経営者としては会社の状況がすぐにみられるという部分は達成できたと思います。
あとは各部門の担当者の立場で見れば前のほうが部分最適のシステムでしたので使い勝手がよかったということはあると思うのですが、それもあるいは慣れのようなものもあるでしょうし、実際九州の受渡を担当する部署でこのシステムができてからその担当に入ってきた人はすんなりと受け入れて最初から普通にやっているのでそういうのを見ても結局は慣れなんだなというようなところはあります。
ですけれど、従来の別のものからERP5を使いはじめた人からユーザーインターフェースについて色々細かくこういうものが必要だというような要望がいくつか積み残しであるんですけれど、毎月の保守で対応していただいているので今はほぼ問題なくできていると思います。
-今後の展開について教えてください。
製造日報のデータを現場で入力したいとか、あとは出荷について出荷漏れがないかということのチェックに時間がかかっているので、例えばバーコードを使ってERP5と連携させて実現するというようなことをまだ具体的ではないのですが考えています。
システムの特徴
Nexediが考えるサンケイ化学ERP5の特徴
- 業界特有の複雑な価格ルールをERP5機能でプログラム化、正確な売値を自動計算。
- 全銀協プロトコル通信機能を開発して全農、全農薬とのデータ交換可能にした。
- "仕入製造販売"を一つのシステムで実現、ERPらしい統合システム。
- ERP5のバリエーション機能を用いて農薬原材料データベースを構築した。
- 本支店勘定に合わせてERP5上でも拠点ごとに帳簿と在庫を管理可能にした。
- オープンソースBIツールを使ってデータを集計、ユーザー自身で分析可能にした。
- ユーザーの役割に応じたアクセス権限を設けた。
お気軽にご相談ください
本プロジェクトやERP、ITシステムに関すること、弊社サービスと関係なく、どんなことでもお気軽にご相談ください。弊社代表の田原が折り返しご連絡いたします。